令和2年度 第2回量子医療研究会研究会 講演1

BNCTの基盤となる中性子計測技術

産総研計測標準総合センター  分析計測標準研究部門 放射能中性子標準研究グループ 主任研究員
松本 哲郎 氏

 次世代先進医療として期待されるBNCTを支える中性子測定にかかる基盤技術について解説された。
 中性子標準・トレーサビリティについては、これまでの原子力産業・研究施設における原子炉・核燃料・加速器施設の放射線計測や放射線防護に加えて、最近ではニーズの多様化があり様々なエネルギーに対する評価と放射線防護目的以外の中性子検出器開発が盛んになっている。その一つがBNCT(中性子医療)であり、近年では環境中性子測定なども注目されている。
 国家標準及びトレーサビリティとしては基準として用いるために、単位 又は量の値の定義、 実現、保存又は再現することを意図した計器、実量器、標準物質又は測定系を整備することが必須であり、海外の国家機関との間でコンセンサスを取りつつ整備している。中性子標準については、用途で必要なエネルギーが異なるとともに、エネルギーによって検出器の特性が異なることが重要であり、低エネルギーの熱中性子領域から高エネルギー(45MeV)領域まで整備している。また、それらの施設の紹介があった。 BNCTに関する取り組みとして、検出器開発、BNCT場での測定、熱外中性子測定等の紹介があり、筑波大学や京都大学の例を比較しつつ、BNCT技術的な現状や現場へのトレーサビリティ確立につなげる取り組みについて紹介された。

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