令和2年度 第2回量子医療研究会 講演2

量子ビーム治療のための加速器入門

産総研計測標準総合センター 分析計測標準研究部門 X線・陽電子計測研究グループ長
大島 永康 氏

 講演者が所属する研究グループでは、短パルス低速陽電子ビームや高エネルギーイオンビームの発生技術と、それらの高品質ビームを用いて機能性材料の物性に大きな影響を及ぼす原子~ナノレベルの欠陥や空隙等の微視的構造の計測技術の開発を行っており、量子ビームテクノロジーに関する極基礎的な内容から最新の技術開発内容まで懇切に紹介された。 まず、様々な加速器に関する技術紹介とそれぞれの特徴や利点等について、計測技術も含めて解説された。また、加速器で発生する陽電子及び中性子を用いた様々な材料科学分野への応用例について紹介された。陽電子計測については、材料特性を左右する原子サイズの微細欠陥や空隙の分析評価への応用について紹介された。中性子計測については、透過力が高く材料部材の深部を非破壊的に分析することが可能となる特徴を生かした材料深部の結晶ミクロ構造に対する非破壊イメージングの応用について紹介された。本技術は中性子の医療応用のBNCTと併せて、今後の中性子利用の新しい道を開くものとして期待されることが強調された。

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